“今や、日本人でアメリカの大学に留学し運動生理学や機能解剖学を学んだ人は珍しくない。しかし著者は、かつて日本を代表する女子バレーボール名門チームの選手で、全日本の代表選手でもあった。そんなアスリートが、セカンドキャリアとしてアメリカの大学で学び、NATAのトレーナー資格まで取得した例はそう多くないはずだ。これだけでも十分凄いが、さらに自らトレーニングを実践し、頚椎や腰椎、膝関節の手術を回避してきた原体験はすさまじい。
著者の興味深い数々のエピソードとともに本書で説かれる保存療法は、大学で修めた身体科学の基本に最新の理論が味付けされているという安心感と、自らの現場体験を踏まえた熱いこころの両面から導かれる。世の中には、数々の理由で手術を回避したい人は少なくない。そんな人々に保存療法の可能性を伝え、実行する勇気とチャンスを与えるのがいわば著者のミッションなのだ。もちろん保存療法にも限界がある。しかし、現在、自らの脊柱管狭窄症の治療で悩んでいる人、同症の患者と向き合う医療関係者には一度は手にとって読んで欲しい本だ。そして将来スポーツトレーナーを目指して勉強中の諸君には、先輩の苦労話とともにトレーナーという仕事の素晴らしさも味わって欲しい”
今や国民病ともいわれる脊柱管狭窄症。高齢者に限らず、若年層にも「脊柱管狭窄症予備軍」が増えている。脊柱管狭窄症の患者が増え続ければ、日本の医療費はどんどん増大してしまうと筆者はいう。本書では、バレーボール選手として活躍した著者自身の腰痛経験や、アメリカ仕込みのトレーニング法を紹介。腰痛解消のヒントを得ていただくだけでなく、脊柱管狭窄症というテーマを通し、福祉と医療のひとつの現場を知っていただきたい。
[ここがポイント]
「ゼロトレ」という言葉を一時期よく見かけた。体に負担のかからない「ゼロポジション」が大切とのことだが、何がどう体に影響するのか。「ニュートラルポジション」「アスレチックポジション」という表記ならご存じの方もいるかと思うが、スラリとした姿勢だけではなく、肩や腰痛への負担にも大きく関わるので、本書の概要をかいつまんで整理する。
例: 足(安定性)⇒ 足関節(可動性)⇒ 膝関節(安定性)⇒ 股関節(可動性)
どこかに問題があると、上下の部位に負担がしわ寄せされ傷めやすい。股関節が硬いと腰を痛めるなど。