3. 広背筋
広背筋は背部の大部分を占める大きな筋肉です。起始は第5胸椎から第5腰椎の棘突起・仙骨・腸骨稜後内側部・第9‐12肋骨で、停止は体側の上方に向けて腱となり脇を通って上腕骨上部前面の小結節稜に付着します。停止が上腕に付着するために、主な働きは上肢の動きと関連していますが、最近の研究では肋骨に付着していることもあり、呼吸補助筋とも考えられています。また、この筋肉は棘突起に広く付着しているため、グローバルモビライザーとしての役割があり不慮姿勢による機能低下にもつながります。
広背筋は、過緊張や弱化した場合など、上腕の外転、屈曲、内転の動きが制限 される傾向にあります。これらの可動域の制限は、腰椎の伸展で代償動作を行うことになり、リブフレアを起こすことにつながります。また、広背筋は脊椎と骨盤に付着しているため、広背筋の柔軟性の減少または硬直の増加は、腰痛を悪化させる運動パターンまたは不良姿勢につながります。
ターゲットの筋肉:広背筋
広背筋リリース
テニスボールよりも柔らかめのツールを使い、広背筋を腰部や臀部と同様にやさしくセルフマッサージを行います。
手順:
① 横向きに休み、柔らかめのボールなどを体側部と床の間に置く。
② ボールの上に適度な体重をかける。より多くの部位をカバーするために、体を優しく円を描くように動かしてもよい。
③ 両側で2分ほど行う。
注意:骨ばった部分(肋骨)の下に置いても痛くないツールを使用すること。
広背筋ストレッチ
サイドベンドストレッチは壁が無くても容易に行えるストレッチです。しかしながら、リブフレアが起きてしまうと、容易に体側部を屈曲することは難しくなるために、うまくストレッチが行えないことがあります。壁を利用して、息を吐くことに集中しましょう。
広背筋サイドベンドストレッチの手順:
① 壁に横向きに立ち、腰を反らないようにして、両手を頭の方に伸ばす。
② 壁から遠い側の手のひらを上に、壁側の手のひらをその下に置く。
③ 壁から遠い側の背中の上部と肩の横に軽度から中程度のストレッチを感じるまで、ゆっくりと片側に傾ける。
④ 息を吐きながらゆっくりと、痛みのない範囲で数回繰り返す。
⑤ 反対側も同様に。
注意:背筋はまっすぐ、ただし腰は反らないように。目線は下を見ないように気をつけましょう。